障がい者雇用の方と実際現場で働いている社員から聞こえてくる声として多いのが、
「どのように接していけばいいかわからない」「仕事での注意の仕方をどうしたらいいのか」などといった不安や悩みの声があります。
今回は、障がい者を雇用で仕事をする際の注意点と仕事を円滑にするにはどうしたらいいのかについて考えていきましょう。
この記事では
- 障害者雇用を導入するときの企業の悩み
- なぜそんなに雇用が難しいのか
- 障害者の現実
について解説していきます。
障害者雇用を導入するときの企業の悩み
どの様な仕事を任せていいのか
まず障がい者雇用をする上で悩みの1つが「どのような仕事を任せていいのか」があります。
一般的にハンディキャップを持った人への仕事は「納期の期限が厳しくないもの」が良いと言われてきました。
納期がある仕事はハンディキャップを持った方へ会社側から頼みにくいものでもありますが、慣れてきている・または経験者なら任せられるので頼まれることもあるかもしれません。
会社側は必要としている仕事は何か、人手が足りていない仕事が何かを見て判断することになります。
短期間で離職してしまうのでは
障がい者雇用の人は離職率が高いと言われています。しかも短いスパンで辞めることが多いのが傾向です。
その理由に
「職場の人間関係」
「給与面や労働条件」
「仕事内容が合ってない」などのが挙げられます。
実際、精神障害者の場合、1年定着率は50%を切っています。
そのため、企業側も慎重になります。
立場への理解
「なぜ障がい者を雇用しないければいけないのか」を会社の社内で説明する機会は多いものです。
その際、障がい者雇用を進めていく事を説明する時にネガティブなことが強調されることが多く、他の社員に積極的に関わりながら仕事をしたいと思わせるような説明が出来てないことが多いです。
「法律で障がい者雇用を定められている」
「行政からの指導を受けたくない」など、
仕方なく雇用してる会社や、中には「国に障がい者雇用給付金を払いたくない」というネガティブな理由の会社も存在していることも事実です。
誰でも今の自分の仕事が忙しいと思っているところに、そのようなネガティブな目的での雇用なら関わりたくないのが本心です。
しかし、この様な会社ばかりではありません。積極的に採用している企業もあります。
障害を持っていても、それを一つの個性と受け取り、一般社員と同じ評価基準で判断して正社員に登用する企業もあります。
実際はどの様な企業かという情報はエージェントが持っているはずなので、聞いてみましょう。
得意不得意が分からない
障がいを持った人を雇用するには、その人がどんな障がいや病気を持っているか理解が出来ていないといけません。
ここで障がい者と一括りにせずに障がい別に分けて見ていきましょう。
身体障がい
障がい者雇用は障がい別に雇用が進められてきた歴史があります。
その中でも最も早くに進められてきたのは「身体障がい者」の雇用です。
働ける身体障がい者はすでに雇用されてるケースも多いのも、このハンディキャップの特徴です。
初めて障がい者雇用をする会社の中には設備などのフォローをすれば対応できるので、今働いている社員と同じような仕事ができる人材を環境さえ整えれば一般社員と同じ様に働けるということで、基本給の平均も他の障害者より高いのが現実です。
しかし、現実的にそのような人をピンポイントで見つけることは大変難しいのが現状です。
また、医学の進歩で身体障がい者になるケースも減っている反面障がいが重度になる傾向も見られています。
知的障がい者
近年、かなり進んできたのが知的障がい者の雇用です。
知的に障がいがある方は基本的にあまり納期や期限などを定めない業務が向いていると言われてきました。
そのため、清掃業務や印刷係などバックオフィスと言われる仕事を中心としている会社が多く見られます。
しかしバックオフィスの仕事は、ある程度の規模の会社でないと難しく、たとえ仕事があったとしても数がそれほど多い業務ではないので、一通り雇用をすれば、それ以上に雇用を拡大することはあまりありません。
精神障がい者
心・メンタル系の障がいの方は、障がい自体が目認(目で見て判断)出来ないので周囲の人が症状や障がいを理解をしづらいことがあり、どのように接したら良いのか分からないと不安を感じる人が多いです。
また精神障がいは同じような病気の名前、手帳などの等級が同じだったとしても個人個人で障害の程度が違い、体調の波や服薬の影響などにより接し方の配慮に個人差が出てくるので会社での対応が難しくなるのも事実です。
そのため、障害者自身も働きにくさなどを感じてしまい、離職率も高いです。
なぜそんなに雇用が難しいのか
障がい者雇用を取り組む企業は会社内の状況によって様々で会社ごとに異なります。
どのような難しさが企業側ではあるのか考えていきましょう。
厚生労働省が発表している「令和2年障害者雇用状況の集計結果」では
障がい者の雇用が進んでない業種として
「教育・学習支援業」
「学術研究、専門・技術サービス業」
「情報通信業」
「不動産業・物品賃貸業」
「建設業」
が挙げられています。
これら業種の仕事内容は、専門的な高い技術や経験が求められたり、一人完結の仕事を求められるものです。
ですので、障害を持っている人を雇いづらいという現状があります。
企業規模の大きさ
会社の規模が小さいと、特定の仕事だけではなく、いくつかの業務も兼務することが求められたりします。
その際に専門的なことが求めれることも少ないないです。
その結果、障がい者雇用のハードルが上がってしまうケースが多いようです。
「令和2年障害者雇用状況の集計結果」では
従業員数と障がい者雇用の実雇用率の企業企業別の結果ですが、
規模の小さい会社の障がい者雇用を難しい様子が伺えます。
従業員45.5~100人未満 1.74%(前年は1.71%)
従業員100~300人未満 1.99%(前年1.97%)
従業員300~500人未満 2.02%(前年1.98%)
従業員500~1,000人未満 2.15% (前年2.11%)
従業員1,000人以上 2.36%(前年2.31%)
日本にある民間企業全体での障がい者実雇用率は2.15%になり、法律で決まっている2.3%の雇用率を達成できているのは、従業員が1000人規模の企業のみになっています。
やはり人が多いとフォローする人間も多いですし、企業自体に余裕があるので、車椅子用トイレなど、環境も整えやすいからでしょう。
現場での理解不足
障がい者雇用を進める上では現場の理解が不可欠です。
事前に社内研修などを行い、実習を重ねて、障がい者が働ける人であることをまず理解してもらうことが必要でしょう。
障がいの特徴やフォローなど本人の特性を伝えると不安や心配は軽減できます。障がい者が所属する部署には障がい者本人の特性やハンディキャップの情報提供も効果がありますが、障がい者が働ける環境が十分に整っていない会社もあります。
障がい者雇用は環境を対応するのに経済的な負担がかかることを見越して職場の環境や管理の体制を整えなければなりません。
そのために活用できる助成金を設けています。
環境が難しいということで雇用が進められないのなら助成金の活用を検討してみるところが増えるのが一番効率的と考えます。
障がい者へ対する偏見
障がい者は「かわいそう」「助けがいる人」と考える人が多くいますが、それは偏見です。
障がい者雇用で働きたい人は、そのような偏見や同情されることを望んでいません。働く障がい者のほとんどが、自分がきちんと働き、その働きに対する評価をしてもらい対価を受け取りたいと考えています。
自分の働きや仕事で会社またはサービスを提供するユーザーなど誰かの役に立つことで仕事上での達成感につながることは障がいの有無関係なく誰にとっても同じことなのです。
採用体制を考え直す
障がい者雇用で大切なのは業務内容や社内雰囲気にあった人を採用することが大切とされます。
それが合わなかった場合、定着して長く働いていくことが難しいです。
労力と時間をかけて募集・採用してもすぐ退職につながってしまうので短期の離職者を繰り返すことになります。
社内と募集者とのマッチングに適切なものは社内で障がい者にあった適切な業務を探し、それにあった人材を採用することが大事なことです。
障がい者雇用を支援・サポートする障害者専門就職エージェントではそういう企業サポートも行い、会社の雰囲気や仕事内容とハンディキャップがうまくマッチングしているもの紹介できるのも特徴です。
障がい者の現実
障害のある方の中には、何らかの苦手さがあったり社会経験が少ないため、仕事の仕方で効率的な行動が難しいこともあります。
そのために会社は仕事を考えるときに、その人の背景でも仕事ができるような仕組み作りをしていくことが重要です。
その人が仕事が出来ないと感じるのであれば、教え方やフォロー、マニュアルを見直して日々アップデートして、ハンディキャップを持った人の適正に合わせる形を作っていく必要があります。
障害者専門就職エージェントではきちんと対応してくれる企業を紹介することで仕事への不安などを解消できます。
どんな社風か、障害者を雇ったことがあるのかなどの情報も持っているので、みなさんに安心した就職活動を提供することができます。
まとめ
この記事では
- 障害者雇用を導入するときの企業の悩み
- なぜそんなに雇用が難しいのか
- 障害者の現実
について解説していきました。
障がい者雇用をする際に、障がい者本人への仕事内容や環境を整えることも大事ですが、合わせて一緒に働く同僚になる社員への理解や体制作りも大切です。
障害を持つ方が仕事を探す際は、そういった体制をとってくれている企業に入社した方が長く働けるでしょう。
そのためにも障害者専門就職エージェントに登録をして、しっかり障害者雇用に積極的な企業を一緒に探しましょう。