障害者雇用で長く勤めるためには?就労定着支援を活用しよう!

せっかく障害者雇用枠で就職しても、定着ができなかったら悲しいですよね。

障害者雇用枠で勤めても、定着率はそんなに上がるものではなく、精神障害に至っては1年定着率が50%を切っています。

就労定着支援を受けて、長く働けるようにサービスを受けましょう。

この記事では

  • 就労定着支援とは
  • 就労後の定着率は?
  • 就職後の離職理由について
  • 就労定着支援って何?
  • 企業と障害者、双方へのフォローが重要

について解説していきます。

就労定着支援とは

現在、障害者雇用促進法に基づき、従業員の規模によって雇用率が決まっており、達していない場合は障害者雇用納付金制度というものがあり、法定人数に不足している障害者1人あたり月5万円の徴収がされます。

こういった働きもあり、雇用者も実雇用率も前年度を下回ったことはなく、年々上場しています。

しかし、障害者の離職率が高いということに着目して、新設されたのが就労定着支援という「障害者総合支援法」に訓練等給付の対象となるサービスです

「障害者総合支援法」の第5条15項によると

「就労定着支援」とは、就労に向けた支援として厚生労働省令で定めるものを受けて通常の事業所に新たに雇用された障害者につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、当該事業所での就労の継続を図るために必要な当該事業所の事業主、障害福祉サービス事業を行う者、医療機関その他の者との連絡調整その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

引用:障害総合支援法

となっています。

就労後の定着率は?

一般企業への就職後の定着率を見てみましょう。

2017年の障害者職業総合センターが行った「障害者の就業状況等に関する調査研究」の表が下記です。

出典:障害別にみた職場定着率の推移と構成割合(2017年4月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 障害者の就業状況等に関する調査研究)

この表を見ると、就職後の職場定着率は全体的に下降傾向になります。

特に精神障害者の定着率は約半分になっています。

発達障害は71.5%になっており、1年以上は働けている人が多い様です。

発達障害にもいろいろあるので、障害によっては業務に支障がないのかもしれません。

定着支援あり・なしで変わる定着率の違い

出典:就職後の支援機関の定着支援別にみた職場定着率の推移と構成割合(2017年 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 障害者の就業状況等に関する調査研究)

一方で就職後、一定期間の就労定着支援を受けた場合の定着率を見ると、支援ありが90.3%に対し、支援なしが71.0%で、1年後は支援ありが73.2%で支援なしが52.6%になっています。

この数値を基にして、厚生労働省では就労定着支援事業の1年後の定着率の目標を80%に設定しています。

これらの結果をみても、就労定着支援を受けたほうが定着率が上がるのがわかります。

就労定着支援が効果的に働いているということになります。

就職後の離職理由について

就職後、定着に繋がらないのは何故なのでしょうか。

障害者職業総合センターが行った調査研究によると、一般企業への就職後、3カ月未満で離職した人の離職理由としては

「労働条件があわない」が19.1%

「業務遂行上の課題あり」が18.1%

となっています。次に3カ月以降1年未満で離職した人では、「人間関係の悪化」が10.8%と2位になっています。

人間関係より労働条件が合わないほうが高いですね。

この労働条件理由は「賃金が低い」「残業が多い」「労働時間が長い」「労働条件が違っていた、または変わった」といったことが考えられます。

障害者雇用枠は、最初に合理的配慮について話し合い、実施されているはずなのに、条件が合わないということは、配慮が徹底されていないことも考えられます。

就職は採用されることがゴールではなく、長く働くことができることが目標です。

就労定着支援って何?

就労定着支援とは障害者雇用で就職した人が、離職せずに安定して長く働けるように支援を行う福祉サービスです。

支援をしてくれるのは、福祉サービスを提供する事業者などで、障害者と企業、医療機関、福祉機関と連絡をとって支援してくれます。

定着支援を行っているのは、就労移行支援事業所や、就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所、自立訓練事業所、生活介護事業所などです。

利用期間

就労定着支援の利用期間の上限は3年です。就労継続支援事業所や就労移行支援事業所などのサービスを活用して就職した場合、フォロー期間として半年間無料でサービスを利用できます。

半年以降は、定着支援事業所や地域の就労支援センターから支援を受けることができます。

就労定着支援の利用料金は前年度の収入により自己負担が発生する場合もあるので、事前に相談したほうがいいでしょう。

支援内容

具体的な支援内容としては、

①障害者との相談を通じて課題を把握する

②課題に対し、本人及び家族、その障害者を雇用している企業と課題解決に必要な関係機関、障害者が利用していた生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を行なう事業所や、例えば障害者職業・生活支援センターや医療機関、社会福祉協議会などとの連絡調整を行う

③課題解決に向けた支援を実施する。支援は障害者の自宅や企業等を訪問するなどして月1回は対面支援を行ない、また別に月1回はその障害者を雇用する企業を訪問する

引用:atgp

となっており、

月1回以上利用者の自宅や企業などを訪問する対面支援を基本としています。支援者は障害者が抱える問題や不安をヒアリングし、問題解決へのアドバイスを行います。

その上で勤務先への訪問を行い、障害者が働きやすい環境へとつなげています。

就労定着支援を受けられる事業所は?

障害者総合支援法上の就労定着支援事業を行うには就労定着支援事業所として指定を受けている事業所です。

就労定着支援の対象になるのは自立訓練、就労移行支援、生活介護、就労継続支援のサービスを利用していることが条件です。

就労定着支援事業所の有無は市町村の障害福祉関係の窓口に聞いてみてください。

企業と障害者、双方へのフォローが重要

就労定着支援で重要なのは、障害のある方の自立と企業の安定的な雇用のための双方へのフォローです。

就職前と後とのギャップに悩むような場合、本人の悩みにも寄り添いつつ、就職先企業の意見もきちんと聞いて、適切なフィードバックが行われるようにサポートしてくれます。

まとめ

この記事では

  • 就労定着支援とは?
  • 就労後の定着率は?
  • 就職後の離職理由について
  • 就労定着支援の内容とは?
  • 企業と障害者、双方へのフォローが重要

について解説していきました。

就労定着支援を利用して、長く仕事を続けましょう。

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