精神障害者が障害雇用の対象になったのは2018年からです。
それまで対象ではなかったので、正式に雇用義務になったのは精神障害者にとってはチャンスでした。
この記事では、
- データから見る障害者の就職・転職市場の動向
- 障害者雇用促進法改正によって起こった変化
- 今後の障害者雇用の課題
について解説していきます。
データから見る障害者の就職・転職市場の動向
民間企業における障害者雇用数は50万人で、14年連続増加しています。
- 身体障害者は 333,454.0人(対前年比1.8%増)、約33万人が雇用
- 知的障害者 は112,293.5人(同7.2%増)、約11万人が雇用
- 精神障害者は50,047.5人(同19.1%増)約5万人が雇用
となっており、まだ精神疾患の方の障害者雇用は少ないです。
これは、精神障害者の職場定着率が50%を切っているため、少なくでていることも考えられますし、精神障害者が含まれてまだまもないので、精神障害者を受け入れる体制ができていない企業も多いことが予想できます。
身体障害者が多いのは、当初は身体障害のみを雇用の対象にしていたことも関係しています。
精神障害は目に見える障害ではないので、合理的配慮が難しいと言うことで定着率が低い可能性があります。
しかし、伸び率で見ると、身体障害者が1.8%増、知的障害が7.2%増、精神障害者が19.1%と精神障害者の伸び率が圧倒的に高いので、精神障害者の雇用がどんどん進んでいっています。また、精神障害者の伸び率が高いのは、発達障害の診断を大人になって受けることが増えてきたのも主な原因でしょう。今までは発達障害などがはっきりしていなかったのですが、近年は発達障害について進んできて、大人になって判明する方もいます。
障害者専門の就職エージェントも増えており、障害者雇用枠が受けやすくなったのも影響しているでしょう。
障害者雇用促進法改正によって起こった変化
平成28年4月から改正障害者雇用促進法が施行されました。この法律によって一定数の社員がいる企業は従業員数に当たり、2.3%は障害者雇用をしなければならないと言うことになったのです。
つまり、従業員1,000人の規模の企業では23人、従業員10,000人の規模の企業では230人採用する必要があります。
社員が多くなれば障害者雇用の人数も多くなるため、大手企業はより積極的に障害者採用を行っています。 一般枠では書類選考が通らないような大手企業に障害者雇用でなら就職できるチャンスもあるのです。
これも、障害者雇用が増えて行った理由の一つと考えられます。
今後の障害者雇用の課題
障害者雇用促進法が整い、障害者雇用の人数は増えていますが、全体の1/7しかありません。
しかも、精神障害者だと、仕事が続かないのではと思われるためなのか、障害者雇用は身体障害に比べて採用される確率が低いです。
また、精神障害者の方は、1年定着率が50%を切っています。つまり、就職しても1年未満に辞めてしまう方が半数はいるのです。
精神障害者が定着しないのは、
「配慮をしてもらえなかった」
「最初の時は配慮があったが、次第になくなってきて、勤めることができなくなった」
と言う理由があります。
身体障害者だと配慮がわかりやすいのですが、精神障害は障害は目に見えにくく、配慮が難しいと言うことが現実にあります。
そのため、精神障害者で障害者雇用枠で就職した人は、定期的に上司と話し合う場面を作ってもらって、合理的配慮について話す機会をもらいましょう。
また、面接の時にしっかりやってもらいたい合理的配慮について伝えることです。
受からなかったら困るといって配慮をしっかり伝えないと、入社しても続けることが難しいです。
まとめ
この記事では
- データから見る障害者の就職・転職市場の動向
- 障害者雇用促進法改正によって起こった変化
- 今後の障害者雇用の課題
について解説していきました。
精神障害者の雇用は増えてきています。
しかし、定着率の低さは変わりません。
せっかく入社しても定着しなければもったいないです。
して欲しい合理的配慮はしっかり伝えましょう。
そのかわりこれはしっかりできるということも伝えると、採用に結びつく可能性があります。